X線回折装置 (X-ray diffractometer)

 X線は可視光と同じ性質を持ちながら、波長が100Å~0.1Åで、可視光よりはるかに短い電磁波の一種です。
物質を構成している原子の間隔と同じ程度の波長(1Å~3Å)のX線を物質に照射すると、
可視光では得られない特徴的な回折現象を生じます。
 X線回折装置は、この回折現象を利用して物質を構成している原子の種類の推定や、
その配列様式(結晶構造)を分析する装置です。物質を構成している原子の種類と配列に関する情報から、
当該物質の同定、キャラクラリゼーション、定量を行います。

原理および構成

 この装置は、X線回折を利用して物質を非破壊で分析し、しかも大気雰囲気で手軽に測定できる分析装置です。
分光器(ゴニオメータ)の回転中心に取り付けた試料にX線を入射させることによって、
試料よりX線が回折してきます。このX線強度について、試料の回転に対応する変化を測定記録し、
X線回折図形を得、その図形をコンピュータを用いて解析します。
 たとえば、図形中に現れるピークの位置や強度関係を調べれば、物質の定性分析ができます。
これ以外にも、ピークの角度広がりやプロファイルなどからさまざまな応用分析が可能です。

特 徴

●サンプルの調整が容易で、非破壊のために何回でも測定できます。
●高感度の半導体検出器を搭載し、約18万種類のデータベース(ICDDカード、PDF-2)から物質を検索できます。

●最大45試料の自動連続測定が可能です。

●測定結果に個人差が少なく、大気雰囲気中で測定ができます。

●BからUまでの元素を含む化合物の定性分析または定量分析をすることができます。

●一つの装置で幅広い試料に応用が可能です。固体、粉体、無機物、有機物、高分子、
 結晶性物質、非晶質、パラクリスタルなど中間結晶質、結晶多形の問題や集合組織といった
 多様なカテゴリーでの対応が単一装置でできます。

X線回折装置の主な応用例

建築・土木

●建材

建材中のアスベスト、クリソタイル、瓦、アルミ建材腐食生成物、断熱材の定性分析など

環境・産業廃棄物

●環境

環境中のアスベストの定性や定量分析、工場排水の蒸発残留物の分析、ダクト内堆積物、フィルタ堆積物、製鋼ダスト、配管の錆等の定性分析など

●産業廃棄物

メッキ液残留物、焼却灰、石炭灰、炉スラグ、エッチング液沈殿物等の定性分析など

鉄鋼

●鉄鋼

鋼板の定性分析、摩擦や摩耗試験片の分析、鋼の腐食の分析など

●鋳鉄

鋳鉄中の析出物、鋳造用添加物の定性分析など

●合金鋼

合金鉄の定性分析など

●特殊鋼

特殊鋼の定性分析など

●表面処理鋼

表面処理鋼板の定性分析など

●線材

スチールや合金メッキ線材の定性分析など

●その他

スラグ、製鋼ダスト等の分析など

非鉄金属・半金属

●銅・亜鉛

銅箔、銅合金、亜鉛合金等の定性、燐酸亜鉛被膜の定性など

●アルミニウム

アルミニウムおよびその合金や酸化物、窒化物等の定性、鋳造アルミニウム合金の析出物の定性分析など

●チタン

チタンおよびその合金や窒化物等の定性分析など

●マグネシウム

マグネシウム合金や酸化物の定性分析など

●重金属

鉛、鉛合金、酸化物等の定性分析など

●貴金属

金、銀、白金およびその合金や箔等の定性分析など

●半金属

シリコン窒化物や炭化物等の定性など

●その他

ニッケル、マンガン、アンチモン等の金属化合物の分析、金属製錬の煙道堆積物の分析など

機械・自動車・造船・溶接

●機械

窒化物や酸化鉄の定性、硫化モリブデンの定性、工具等の窒化チタンコート膜の分析、溶接用フラックスあるいは溶接棒フラックスの定性分析など

●自動車・造船

ブレーキ材の分析、排気ガス処理フィルタ堆積物の分析など

窯業

●窯業

陶石、ろう石など窯業材料の定性分析や定量分析、炉材の定性、陶磁器原料の定性分析など

●セラミックス

ファインセラミックスの定性分析など

●セメント

クリンカ、セメント、モルタルおよび水和物の定性分析、セメント原料の定性分析など

●ガラス

ガラス表面の酸化金属膜の定性、炉材の定性分析など

電気・電子材料

●電気部品

腐食物や付着物の成分分析など

●電子材料

IC端子材料の定性、液晶の分析、チタン酸バリウム等コンデンサ材料の定性、抵抗材料の定性など

●磁性材料

フェライトの定性、希土類磁性材料の定性分析など

繊維・紙・パルプ・食品

●繊維

ナイロン、ポリエステル、アクリル等化学繊維のパターン比較など

●紙・パルプ

普通紙、コート紙、洋紙等のコート層や下地の定性分析、添加物の定性分析など

●食品

デンプンや糖類等のパターン比較など

化学工業

●化学

無機材料、有機材料、合成樹脂、ソーダ、燐酸化合物、油脂、添加剤等の定性、異物の分析など

●農薬化学

化学肥料、農薬および基材等の定性分析など

●触媒

ゼオライト、コージエライト、酸化鉄、酸化アルミニウム等の触媒および基材の定性分析など

●染料・色剤

顔料、釉薬、染料およびその中間体のパターン比較など

●塗料・インク

塗料原料およびインク原料の定性分析など

資源・エネルギー

●石油・石炭

プラントスケール、沈殿物の分析など

●電力・ガス

プラント配管残留物の分析、タービン材料の分析、ボイラースケール、煙道堆積物の定性分析など

●鉱石

銅鉱石、鉄鉱石、マンガン鉱石等の分析、セメント原料、パイロフェライトの分析など

●土壌・岩石

各種産地の土壌、土砂、岩石の分析、瓦用粘土、ハロイサイト類の分析など

●粘土鉱物

カオリナイト、セリサイト、モンモリサイト、珪藻土類の定性分析など