排ガス中の放射性セシウムの採取と分析

1.はじめに
 東日本大震災に伴う原子力発電所の事故によって放出された放射性物質に汚染された廃棄物の処分(焼却)に伴い生じた排ガスの周辺環境への影響を判断するため、「放射性物質汚染対処特措法」に基づいて、当センターでは排ガス中の放射性セシウム134・137を採取し分析する業務を行っています。
 当センターでは、測定精度及び測定結果の信頼性確保に努めると共に、お客様のニーズに合わせたご提案を行っています。

2.採取方法
 排ガスの試料採取は「JIS Z 8808:排ガス中のダスト濃度の測定方法」に準拠し、排出口(煙突等)で排ガスを等速吸引により採取します。排ガスの採取装置は採取管部、捕集部(ろ紙・純水)、連結部、吸引ポンプ及び流量測定部で構成されています(図1)。

図1 排ガス採取装置の構成概念図

3.分析方法

 ダスト捕集部とドレン部(吸収瓶の捕集水)に分けて、ゲルマニウム半導体検出器でセシウム134とセシウム137を測定します。(写真1)

写真1 ゲルマニウム半導体検出器

4.評価すべき濃度
 測定結果の評価は、表1に示す空気中の濃度限度と比較し評価します。
排ガスの濃度限度は、3ヶ月の平均濃度について以下の式1により算出した値(セシウム134とセシウム137の場合、各濃度限度に対する割合の和が1を超えないようにすることです。

表1 空気中の濃度限度

放射性物質の種類

空気中の濃度限度Bq/m³

セシウム134

20

セシウム137

30

 

セシウム134の濃度(Bq/m³)/20+セシウム137の濃度(Bq/m³)/30 ≦ 1 (式1)

 濃度限度を上回った場合にあっては、以下の①~③の推定値及び測定値と濃度限度を比較することにより、周辺環境への影響を判断します。

 ① 排ガスの挙動の解析により推計された最大着地濃度地点での濃度
 ② ①で推定される最大着地濃度地点で測定された空気中の放射性物質の濃度
 ③ 施設周辺の敷地境界の四方で測定された空気中の放射性物質の濃度

5.その他
 採取方法や分析等について、御気軽にご相談ください。

 出典:廃棄物等の放射能調査・測定マニュアル(第2版) 一般社団法人廃棄物資源循環学会