電子線マイクロアナライザ (EPMA:Electron probe micro analyzer)

 電子線マイクロアナライザ(EPMA)は、物質がどのような元素から構成されているかを調べる装置で、
電子線を物質の表面に照射し、そこから発生する特性X線を検出する方法を用いています。

原理および構成

 装置の原理的構成は、大きく分けて電子線の照射系(電子光学系)、試料ステージ、X線分光器、
真空排気系、コンピュータシステム系(装置の制御とデータ処理)に分けられます。

特 徴

 ●非破壊分析

EPMAは電子線を照射して特性X線を検出して元素同定を行う非破壊分析です。

 ●微小領域から広領域分析まで

細く絞った電子線によるμmの微小領域の分析から、
試料ステージの走査による10cm程度の広領域の分析が可能です。

 ●多様性

特性X線以外に反射電子の原子番号依存性を利用した組成後、二次電子による形態観察、
発光を利用したカソードルミネッセンス分析、半導体素子の接続部に発生する内部起電力の観察等、
電子線照射により発生する量子情報のことごとくを、それぞれ分析に利用できる多様性のある装置です。

EPMAの主な応用例

異物・不良解析

●アスベスト

含有元素の定性分析によるクリソタイル、アモサイト、クロシドライトの同定

●アルミニウム

アルミサッシ表面に付着した異物の成分分析、元素濃度分析、結合状態の分析など

●メッキ表面

メッキ面の品質管理または不良発生の原因調査

●鋼材の不良解析

鋼材のキズ、折損が発生した鋼材の破断面の元素の分布状態の分析による原因解析

●電気接点の分析

電気的導通不良を起こしたリレー、スイッチなどの接点部の付着物の分析

●金属腐食部の分析

腐食部分の元素分布状態の分析による腐食原因の解析など

●さびの分布

塗装鋼板に発生するスポットさび、糸状さびの分布

半導体・電気・電子

●LSIの分析

わずかな瑕疵が致命的な欠陥の原因となるLSIの分析

●伝導体材料

セラミック超伝導材料の定性分析、状態分析

●半導体材料

半導体素材中の微量元素の分布

●超伝導線材

超伝導線材の元素分布の分析

化学工業

●脱硫触媒の分析

触媒の活性度を評価するための触媒中の元素の分布状態の測定など

●酸化鉄触媒の分析

性能劣化とともに白斑を生じた触媒の原因究明のための測定など

●プラスチックの分析

プラスチック欠陥部の原因究明のための表面観察および組成分析

●フロッピーディスク

フロッピーディスクの品質向上のためのディスク表面の観察および元素分析

●樹脂の分析

樹脂に含まれる添加剤・可塑剤の組成分析、引張り破断面の観察による物性調査など

●繊維の分析

繊維の損傷変形の状態や汚れの状態および原因物質の分析など

生化学

●毛髪

手入れ・老化などの美容面、重金属などの濃縮

●プランクトン

プランクトンの観察、プランクトン中の燐の含有量の分析など

その他

●書記用色材

顔料構成元素の分析

●偽造通貨

金属材質の分析

●硬組織

骨などの微小組織片の分析、歯牙の補錣合金の識別など

●有害性金属

元素分析

●塗膜

自動車塗膜などの顔料無機元素の分析

●繊維

破断面・植物組織片の形態観察

●ガラス片

材質の分析

●微小付属物

形態観察、成分分析

●貴金属・宝石

材質の検査・分析、微小部分の宝石の形キズ、純度、不純物の種類と分布の分析