アライグマ アライグマ

アライグマ

アライグマ

上越地域に生息が確認され始めた特定外来生物「アライグマ」

  • 1.特定外来生物とは

    「特定外来生物」とは、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」により、海外起源の外来種であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼす恐れのあるものの中から指定されたものです。
    なお、法律により無許可での飼育、栽培、保管、運搬は禁止されています。

  • 2.アライグマとは

    北米原産の雑食性哺乳類。タヌキやキツネと同程度の大きさ。
    1970年代のテレビアニメの影響で輸入が増加し、その個体が無責任な放逐や逸走により自然定着したと言われています。なお、日本に輸入された個体には別腫のよく似た中南米原産のカニクイアライグマも含まれていたと考えられています。

    アライグマ

    2019年9⽉20⽇ ⾕浜公園に設置したセンサーカメラにより撮影

  • 3.アライグマが生息して引き起こされること

    ①農林水産被害
    雑食性のため、加害対象は多様ですが、特にトウモロコシ、メロン、スイカ、イチゴなどの野菜・果樹、家畜飼料などの被害が深刻です。その他に、牧草のロールやパックの破壊、乳牛の乳首を噛み切る、ニワトリを食べるなどの畜産業被害、養魚場での魚の捕食といった漁業被害もあります。

    ②生態系被害
    北海道ではニホンザリガニやエゾサンショウウオといった固有在来種の捕食による減少やキツネ、タヌキ、エゾフクロウ等の在来種の競合による排除・置換が報告されています。

    ③生活被害
    人家や空き家に侵入・住み着かれ、糞尿により天井板が腐る被害や、糞尿によりわいたノミやダニに刺される事例があります。

    ④健康被害
    アライグマはアライグマ回虫、狂犬病等の人畜共通感染症を媒介する危険が示唆されています。

    ⑤文化財被害
    木造建築物に侵入するため、平等院鳳凰堂や清水寺等社寺に住み着き柱等に傷を付けられた事例があります。

  • 4.新潟県内における捕獲・生息情報等

    ●捕獲情報
    1996年  狩猟により新潟県内にて6匹捕獲。詳細情報は破棄され無し
    1998年  狩猟により新潟県内にて5匹捕獲。詳細情報は破棄され無し
    2002年  狩猟により新潟県内にて1匹捕獲。詳細情報は破棄され無し
    2010年  狩猟マップ401(上越市)において狩猟により1匹捕獲。詳細情報は破棄され無し
    2014年秋 狩猟マップ445(糸魚川市西中)において猟期前半に罠により1個体捕獲
    2016年  狩猟により新潟県内にて1匹捕獲。場所不明
    2018年7月6日 16:00頃 新潟市秋葉区東島29-1 捕獲器で捕獲
    (↑生物多様性保全ネットワーク新潟井上信夫氏が新潟市環境政策課より提供を受けた情報)
    2018年8月21日 狩猟マップ446(糸魚川市羽生) 糸魚川市有害鳥獣駆除
    2018年9月22日 狩猟マップ446(糸魚川市羽生) 糸魚川市有害鳥獣駆除
    2018年10月22日 狩猟マップ446(糸魚川市羽生) 糸魚川市有害鳥獣駆除
    2019年3月21日 狩猟マップ421(糸魚川市能生大平寺) 糸魚川市有害鳥獣駆除
    2020年8月3日 狩猟マップ446(糸魚川市羽生) 糸魚川市有害鳥獣駆除
    2020年8月5日 狩猟マップ446(糸魚川市羽生) 糸魚川市有害鳥獣駆除 2個体
    2021年5月26日 狩猟マップ402(上越市滝寺) 上越市有害鳥獣駆除 オス
    2021年5月27日 狩猟マップ402(上越市滝寺) 上越市有害鳥獣駆除 メス
    2021年7月2日 狩猟マップ402(上越市飯) 上越市有害鳥獣駆除 オス、メス各1個体

    ●落体情報
    2016年10月22日 上越市茶屋ヶ原 国道8号線 落体回収
    2017年5月8日  上越市茶屋ヶ原 国道8号線 落体回収(2016年の地点より若干東)
    2017年7月29日  糸魚川市上刈 国道148号線 落体回収

    ●センサーカメラ情報
    ①新潟大学箕口教授設置センサーカメラ(上越市名立区谷口~坪山地区設置)
    2015年3月15日 1個体撮影(谷口地区)
    2015年8月26日 1個体撮影(坪山地区)
    2015年10月4日 1個体撮影(坪山地区)
    2015年11月22日 1個体撮影(坪山地区)
    2016年6月28日 1個体撮影(坪山地区)
    2016年7月15日 1個体撮影(坪山地区)
    以降のデータは未入手。カメラは現在も稼働中のはず。

    ②上越市茶屋ヶ原集落近く、センター職員設置センサーカメラ(2016年10月30日~12月23日)
    2016年11月8日 1個体撮影(西へ移動)
    2016年11月17日 1個体撮影(西へ移動)

    ③上越市谷浜公園内、センター職員設置センサーカメラ(2017年4月21日~2020年3月31日)
    2018年6月5日 1個体撮影(西へ移動)
    2018年6月30日 1個体撮影(西へ移動)
    2018年7月13日 1個体撮影(西へ移動)
    2019年6月12日 1個体撮影(東へ移動)
    2019年9月7日 1個体撮影(西へ移動)
    2019年9月20日 2個体撮影(西へ移動)

    ④上越市農政課設置カメラ(上越市茶屋ヶ原~名立区車路)(2017年8月17日~)
    2017年8月23日 カメラ⑥ 1個体撮影(上越市茶屋ヶ原)
    2017年9月12日 カメラ⑪ 1個体撮影(上越市名立区名立小泊)
    2017年10月15日 カメラ⑭ 1個体撮影(上越市名立区名立大町)
    2017年12月18日 カメラ⑪ 1個体撮影(上越市名立区名立小泊)
    2018年3月26日 カメラ⑭ 1個体撮影(上越市名立区名立大町)
    2018年3月28日 カメラ⑦ 1個体撮影(上越市名立区名立小泊)
    2018年4月15日 カメラ⑦ 1個体撮影(上越市名立区名立小泊)
    2018年5月14日 カメラ⑭ 1個体撮影(上越市名立区名立大町)
    2018年6月16日 カメラ⑭ 1個体撮影(上越市名立区名立大町)
    2018年6月19日 カメラ② 1個体撮影(上越市茶屋ヶ原)
    2018年8月21日 カメラ⑭ 1個体撮影(上越市名立区名立大町)
    2018年10月16日 カメラ⑳ 1個体撮影(上越市高住?)

    ⑤上越教育大学内、中村雅彦先生設置カメラ(2017年9月~2018年12月、2019年6月~) 2019年6月18日 1個体撮影 2020年6月9,10日 成獣1個体、幼獣2個体

    ⑥糸魚川市指塩(能生地区)、野紫木洋氏設置カメラ 2020年9月1回、10月1回(フィールドニュース№425、2020年12月発行)

    ●聞き取り情報
    2017年度にセンター職員の岡本が聞き取りをしたところ、
    魚沼、南魚沼、十日町地域においては各保健所、市ではアライグマの生息情報は把握していないとのことです。
    三条市で聞き取りをしたところ、2017年7月22日に市道でアライグマらしい落体回収があったとのことですが写真等が無く検証できませんでした。

    ●その他
    2015年8月19日 上越市西ケ窪浜 カボチャ食痕(センター職員確認)
    2015年9月27日より当該地にてカゴ罠設置するが捕獲に至らず。
    2017年1月28日 上越市名立区紫雲谷合流付近 足跡(センター職員確認)
    2017年11月9日 糸魚川市田海で地元住民により写真撮影される。

    ●文献情報
    中村雅彦・粟野朱音(2021) 上越教育大学構内の哺乳類相 上越教育大学研究紀要第40巻第2号:593-601

    ●報道情報
    上越タイムス2020年2月1日 高原草花だより アライグマもやって来た 外来動物の話②
    上越タイムス2021年5月31日 外来生物(外来種)上越にも多数定着 いきもの上越図鑑<5>
    朝日新聞2021年9月28日 アライグマの痕跡情報求

  • 5.行政等の動き

    ・長野県ではアライグマを含めた外来種対策ハンドブックが出ております。
    ・上越市では2021年4月1日からアライグマの有害鳥獣捕獲が実施されました。
    ・新潟県ワイルドライフリサーチでは2021年7月22日~9月30日に市民参加型アライグマ分布調査が実施されました。

  • 6.今後の対応

    環境省では在来野生鳥獣ではないため生態系からの完全排除を目指しています。費用対効果の面からも初期対応が重要と言っておりますが、新潟県や上越市では明確な指針が出ておりません。
    住宅等に野生動物が住み着いているようでしたら専門の駆除業者に依頼をお願いします。
    農林水産業被害につきましては、加害種の特定が難しいですが、JAや市、県へご相談ください。
    明確な生息情報がございましたら弊センター、計画調査課へご一報いただけると幸いです。
    計画調査課 直通ダイヤル025-544-5021(担当:岡本)